千葉市美浜区の動物病院|海浜動物医療センター

うさぎ専科

うさぎに優しい診療

近年、フードや飼育環境の改善によりうさぎさんの寿命も延び、高齢期の病気の発生率が高まっています。自然界において捕食される側の動物であるうさぎさんは本能的に病気やケガを隠す傾向にあり、飼い主様が気付いた時には病状がかなり進行しているケースも多く見られます。病気の早期発見・早期治療のためにこまめな来院、健康診断をおすすめします。今や犬猫に次ぐ人気ペットのうさぎさんですがその生態は犬猫とは全く異なったものであり、うさぎさんに関する間違った情報もネット上にあふれています。病気のことだけでなく、うさぎさんの正しい飼い方についてや問題行動・しつけに関するご相談、介護の仕方まで、何でもご相談ください。

来院時のお願い

うさぎさんは必ずキャリーバッグに入れてお連れ下さい。その子の体格に対して大きすぎるキャリーや布製のソフトキャリーは、移動中の揺れなどでバランスを崩し四肢や背中を痛める危険があります。
扉が上に開くタイプのハードキャリーでその子の体長(身体を伸ばした状態)の1.5倍ほどのサイズが理想です。スリップ防止のため、キャリー底にはすのこやわらマットを敷いてあげましょう。温度変化に敏感な動物のため、移動中の暑さ・寒さ対策もしっかりとしましょう。また、長時間の絶食を避けるため、嗜好性の高い牧草やペレット、おやつなども忘れずに入れてあげてください。

診察時の注意点

初めての診察時には必ず、その子の性格や普段の飼育環境、お食事内容について詳しくお聞きします。怖がりさんや、抱っこが嫌い、ジャンプが得意など、事前に情報をいただけると安全に診察を進める助けになります。異常を見落とさないよう基本的に診察台の上で丁寧に診察をしますが、うさぎさんの性格により激しく動いたり落下の危険があると判断した場合には、床の上で診察をさせていただくことがあります。また、極度に怖がりでパニックを起こしてしまう子に関しては、安全を最優先しできる範囲でのハンドリング、最小限の検査・処置のみとなることをご理解ください。

うさぎさんの代表的な病気

うさぎさんに関わるすべての病気・手術に対応しております。他院からのセカンドオピニオンや転院手術も多く、どのような症状でも複雑な経過でもすべてのうさぎさんをお断りすることなく受け入れしております。うさぎさんの病気は進行の早いものも多いため、なんとなく元気がないや気になる症状がありましたら、できる限り早くに診察にお連れ下さい。

不正咬合

主な症状:元気・食欲不振、歯ぎしりをする、よだれが出る、顎の毛が薄くなる、前足が汚れる

うさぎさんの歯は合計28本歯あり、“常生歯”といい一生伸び続けるという特徴を持っています。正しいかみ合わせのうさぎさんは、牧草を食べる際自分の歯同士をすり合わせることで歯の長さを適切に保っていますが、生まれつき咬み合わせが悪かったりケージの齧り癖が酷い子では、上下の歯がうまくかみ合わず曲がった方向へ伸び続けてしまいます。これを不正咬合といい、伸びた歯が口腔内の粘膜を傷つけて痛みや炎症を引き起こし、元気・食欲不振の原因となります。うさぎさんの食欲不振は命に関わるため、なるべく早期に適切な長さと角度に歯を削る処置を行います。切歯(前歯)の処置は無麻酔で行いますが、臼歯(奥歯)の処置は、うさぎさんのストレスと安全性、正確性を考慮し麻酔下にて実施いたします。一度の治療で完治するものではなく生涯ケアが必要となる病気のため、飼い主様のご希望次第では、抜歯処置にも対応しております。お悩みの方は、一度ご相談ください。

消化管うっ滞

主な症状:元気・食欲不振、うんちが小さい・出ない、お腹が張る

何らかの原因で胃腸が動かなくなり、食餌をとれなくなってしまう状態を指します。機能性イレウス、毛球症、異物の摂取など原因はさまざまで、物理的に消化管閉塞を起こした場合、急性胃拡張に移行し命に関わるケースもあります。触診、レントゲン検査、腹部超音波検査、血液検査等を行ったのち、原因に応じた治療を行います。一度の受診で完治することはほぼなく、完全に回復するまでには数日から個体によっては数週間かかることもあります。多くの場合ご自宅での継続的な投薬と食餌管理が必要になり、飼い主様のご協力が必要不可欠です。常に食餌を取り消化管を動かし続けなければ生きていけないうさぎさんにとって、食欲不振は命に関わるため、決して様子を見ず、また自己判断で対処をせず速やかに受診をしてください。

膿瘍

うさぎさんは、全身の至る所に膿瘍(膿の塊)ができやすく、その性質から、治療が難しく再発を繰り返すケースも多く見られます。多くは細菌感染によるものであり、薬剤感受性検査ののち適切な抗生剤の使用と、排膿/洗浄処置を繰り返すことで治療を行います。膿瘍範囲が大きい場合や、深在性膿瘍の場合、外科的にその部位を切除する必要があるため、経過とその子の状態により手術をご提案する場合があります。

足底皮膚炎(ソアホック)

うさぎさんは後ろ重心でかかとを地面に着いて歩く姿勢のため、後ろ足に常に負荷がかかる状態にあります。人の飼育下においては、硬いプラスチックやステンレスすのこの飼育環境がほとんどのため、慢性的な圧や摩擦刺激によって皮膚が炎症を起こしてしまうことがあります。治療は、床材の変更など飼育環境の改善や、体重管理、患部のバンテージ保護、自傷防止のためのエリザベスカラー着用が主ですが、感染症を併発している場合は、消毒や投薬による長期治療が必要となります。

子宮・卵巣疾患

子宮・卵巣疾患は、うさぎさんの疾患の10%を占めると言われています。腫瘍性疾患はその中の約50%を占めるというデータがあり、シニア期以降で特に発症率が上がります。主な症状は、陰部からの出血、腹部の張り、元気・食欲低下、下痢などが挙げられますが、これらはかなり病状が進行した段階でみられることが多く、初期は無症状であることがほとんどです。発見が遅れるほど手術や麻酔リスクが上がるため、こまめな健診等で早期発見に努めるほか、当院では、生後半年以降で避妊手術を受けることをおすすめしております。

その他の代表的な病気と主な症状

感染性皮膚炎(真菌感染症、外部寄生虫感染症)
⇒不規則な脱毛、皮膚の赤味、頻繁なグルーミング
肝リピドーシス
⇒元気・食欲不振、痩せる、便の異常
呼吸器感染症(スナッフル、肺炎)
⇒頻繁なくしゃみ、目やに、鼻水、いつもと違う呼吸
下部尿路疾患(膀胱炎、膀胱結石)
⇒トイレの失敗、頻尿、血尿
整形外科疾患(骨折、脱臼)
⇒足を引きずる、動きたがらない
神経疾患(てんかん、中耳炎、エンセファリトゾーン症)
⇒目が揺れる、首が傾く、ぐるぐる回る、けいれん

うさぎさんの予防について

日本の飼育下のうさぎさんは、海外のように定期ワクチン接種の習慣がありません。これは、国内でのうさぎ専用ワクチンの流通が無いことのほかに、対象のウイルス感染症の発生がないことが要因として挙げられます。 室内飼育が基本のうさぎさんですが、屋外にお散歩につれていく場合は、定期的にノミダニ予防をしましょう。うさぎさんに使用してはいけない薬剤もありますので、必ず動物病院処方の予防薬を使用しましょう。

うさぎさんの避妊・去勢手術について

男の子も女の子も、原則生後6か月以降での避妊・去勢手術をおすすめしています。人気品種の上位を占めるネザーランドドワーフやホーランドロップをはじめとするドワーフ種は、生後6カ月でほぼすべての個体が性成熟を迎え、男の子においては生後4カ月頃から繁殖が可能となります。どちらの手術も、発情に伴うストレスや問題行動の軽減、高齢になってからの生殖器系の病気の予防を目的として行います。特に、雌雄両方のうさぎさんを多頭飼育されているおうちは、望まない妊娠の予防のため適切な時期に手術を受けることをおすすめします。

その子の発育具合や健康状態により手術適期が変わるため、事前に一度診察を受けていただきます。おおよその手術日が決定したら、術前検査を受けていただきます。手術当日は、午前中にお預かりし夕方退院の日帰り手術となりますが、うさぎさんの状態によっては数日入院お預かりとなる場合もあります。 手術をすべきかどうかお悩みの飼い主様は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。手術をする場合、しない場合それぞれのメリット・デメリットや、手術の流れや麻酔、術後管理について詳しくご説明いたします。

避妊手術(メス)

腹部を広く毛刈り・消毒し、臍と骨盤を線で結んだ中央あたりを1.5‐2㎝ほど切開し子宮と卵巣を摘出します。高齢個体や肥満個体では、子宮間膜に大量の脂肪がついているため、安全に摘出するため傷が大きくなることがあります。吸収糸(身体の中で溶ける糸)で縫合するため、傷の抜糸の必要はなく、エリザベスカラーの着用も必要ありません。

去勢手術(オス)

そ陰嚢の周囲を毛刈り・消毒し、左右の陰嚢の間を5-8㎜ほど切開し、両側の精巣を摘出します。うさぎさんは、成体になっても鼠経管が閉鎖しないという特性をもっているため、精巣の摘出後総鞘膜という膜をしっかりと結紮してから皮膚を縫合します。この過程を怠ると、陰嚢ヘルニアを起こすことがあります。吸収糸(身体の中で溶ける糸)で縫合するため、傷の抜糸の必要はなく、エリザベスカラーの着用も必要ありません。

うさぎさんの麻酔について

うさぎさんに限らず、全ての動物において100%安全な麻酔はありません。その子の年齢や体重、基礎疾患、手術や処置内容から予測される疼痛レベル等、様々な要因に元づいて、麻酔リスク評価と麻酔プロトコルの選択を行います。当院では、麻酔リスク評価を目的に、術前の血液検査や必要に応じて画像検査を行います。ストレスに弱いうさぎさんに負担の少ない麻酔導入法や、うさぎ専用の気管チューブ(Rabbit V-gel)の使用、局所麻酔を併用した積極的な疼痛管理、ストレスを最小限にするため最短での入院など、うさぎさんに優しい麻酔・術後管理を常に心掛けております。

うさぎさんのホテル

予約制となっており、お電話または病院受付にて承ります。お預かりの際は、原則、ケージ、フード、牧草、トイレなどお世話に必要な飼育用品を一式お持ちいただく形となっております。フードの内容や水入れ等、普段と違うものを与えると、警戒し食餌や水を一切取らなくなる個体も少なくないからです。環境の変化に敏感なうさぎさんのストレスをできる限り軽減するための対策ですので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。お預かり期間中は毎日体調のチェックを行い、爪切りやブラッシングなどのケア、必要に応じて検査や治療まで行います。

うさぎさんの健康診断

常時うさドックの受け入れをしております。若く元気なうちから最低でも年2回、シニア期以降は、2‐3カ月に1回の健康診断が理想です。体型のチェックや歯に異常はないか、皮膚や被毛は正常か、できものはないか、歩様に異常はないかなど診察時に確認できるものから、血液検査や画像検査(レントゲン検査、エコー検査)など体の中の状態をより詳しく見る検査まで内容は様々です。その子の年齢、身体の状態にあった健診内容をご提案いたします。各種検査は診察時間内に行いますので、事前にご予約の上、お時間に余裕をもってご来院ください。

うさぎさんが大好きなスタッフがお待ちしております!

新たにうさぎさんを家族としてお迎えしたら、ぜひ一度病院へお連れ下さい。動物病院は病気を治すためだけの場所ではありません。飼育方法やしつけに関する相談、病気の予防、爪切りなどのお手入れまで、うさぎさんに関わることは何でもご相談ください。うさぎ飼育歴が長く、診療経験豊富な獣医師と看護師が自らの経験も交えたアドバイスをさせていただきます。かわいいうちの子自慢も大歓迎です!飼った者でしか分からない、うさぎさんの可愛さ・魅力についてたくさんお話ししましょう!