猫専科
猫に優しい動物病院を目指して
近年、飼育環境や医療技術の向上により、猫たちの高齢化も進んでいます。
私たちは、猫と飼い主さまが生涯幸せに暮らすために、衣食住を含めた適切な生活環境お伝えし、年齢に応じた健康診断をご提示し、それぞれの性格に合わせた優しい診察や治療を提供するよう心掛けています。
猫好きなスタッフたちが、愛する猫とのかけがえのない時間が長く続く方法を飼い主さまと一緒に考えていきます。
当院は、キャットフレンドリークリニック ゴールドの認定を受けています。
「キャットフレンドリークリニック」とは、国際認定機関である国際猫医学会(ISFM)によって確立された「猫にやさしい病院」の国際基準です。認定基準にはゴールド・シルバー・ブロンズの3つのレベルが設定されており、当院は最上位のゴールドレベル認定を取得しています。
当院が猫のためにする10のこと
-
1.キャットフレンドリークリニックの
認証を獲得しています -
2.猫の扱いに慣れたCATVOCATE資格を
獲得したスタッフが常駐しています -
3.完全予約制とし、
待ち時間を最小限にしています -
4.犬とは別の猫専用待合室、
診察室、入院室があります -
5.最大4部屋を行き来できる猫の習性にあった
猫専用ホテルがあります -
6.活発な猫ものびのび過ごせる
大型個室タイプのホテルもご用意しています -
7.新しいお家を探す猫たちの
里親募集のお手伝いを行っています -
8.猫の飼い主さま向けの
定期セミナーを開催しています -
9.全てのスタッフが、猫に優しい診察や
治療を心掛けています -
10.常に最新の猫医療を提供できるよう
セミナーや学会参加をし、
日々スキルアップに努めています
海浜動物医療センターでは、環境の変化に敏感な猫たちのためにストレスを最小限にするための様々な工夫をしています。通いやすい病院づくりは、健康維持や病気の早期発見に繋がり猫たちの生活をよりよいものにすると信じています。猫とその飼い主様が、安心して快適に利用できるような病院を目指し、これからも猫に優しい病院作りに取り組んでまいります。
来院時のお願い
来院時は必ずキャリーバッグに入れてお連れ下さい。ストレスをかけずに猫を出すことのできる、プラスチック製で前方と上部の扉が開くタイプのキャリーバックをおすすめしています。
キャリーバッグは、通院だけでなく災害などの避難時にも必要な物です。無理やり捕まえて入れるのではなく、猫自身が自分から入りたいと思えるような安心スペースになっていることが理想的です。小さいころから日常的に猫の目に付く場所に置き、慣らす練習をしましょう。
待合室について
2階フロアには、猫専用待合室と診察室3室をご用意しております。犬待合室/診察室と距離を離し吠え声等にも配慮したフロア設計となっており、診察から検査・処置・入院まですべて、わんちゃんとは隔離した状態で行います。診察受付を済ませた方は、エレベーターすぐ横の猫待合室にてお待ちください。
猫の3大予防について
ワクチン接種
様々な感染症を予防・重症化させないために必要不可欠なものであり、特別な理由がない限りすべての猫に接種をおすすめしています。その子のライフスタイルに合わせて3種と5種のいずれかをご提案いたします。
・3種混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウィルス感染症、猫汎血球減少症)
・5種混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウィルス感染症、猫汎血球減少症、猫白血病ウイルス感染症、クラミジア病)
フィラリア症予防
フィラリア症とは、蚊によって運ばれたフィラリア(犬糸状虫)の幼虫が吸血の際体内に入りこみ、最終的に心臓や肺の血管に寄生する病気です。寄生したフィラリアは、全身の血液循環や内臓機能に深刻なダメージを与え、目立った症状なく突然死を引き起こすこともあります。
猫のフィラリア症は診断が難しく安全な治療法もないため、定期的な予防が何よりも大切です。
予防は毎月1回、スポットタイプのお薬を皮膚に塗布します。
ノミ・マダニ予防
ノミやマダニは、刺した部位にかゆみや皮膚炎を引きおこすだけでなく、命に関わる感染症を媒介することがあります。猫ひっかき病やライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など人間に感染する病気も多く運んできます。
予防は毎月1回、スポットタイプのお薬を皮膚に塗布します。
猫の代表的な病気
- 歯肉口内炎
- 猫に非常に多くみられる病気で、細菌やウイルス感染、免疫反応などによる影響が考えられますが、詳しい発症原因は未だ解明されていません。主な症状は、口の赤みや痛み、よだれを垂らす、口を気にして引っ掻く、食欲不振などがあげられます。治療は、抗生剤やステロイド、インターフェロン投与などの内科治療と、麻酔下での抜歯などを組み合わせて行います。
- 上部気道感染症(猫かぜ)
- 猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス・クラミジアなどの感染により引き起こされる、人の風邪に似た病気です。猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスは一度感染すると、症状が治まった後もウイルスが体内に残ってしまい、免疫の低下したタイミングでぶり返すことがあります。定期ワクチン接種によって予防や症状を軽減が期待できます。
- 慢性腎臓病(CKD)
- 腎臓の機能がゆっくり低下する病気で、高齢の猫に多くみられます。主な症状は、多飲多尿、食欲不振、嘔吐、体重減少などが挙げられます。一度悪くなった腎臓を治すことはできませんが、早期発見と治療によって腎臓の寿命を伸ばし病気の進行を遅らせることができます。
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺ホルモンが過剰に分泌され新陳代謝が亢進する病気で、8歳以上の高齢猫に多く見られます。主な症状は、多飲多尿、体重減少、活動の亢進、嘔吐、下痢などが挙げられます。食事療法や抗甲状腺薬の内服によって治療を行います。血液検査によって診断が可能なため、定期健診での検査をおすすめします。
- 糖尿病
- インスリンというホルモンが不足したり、うまく働かないことで血糖値が異常に高くなってしまう病気で、人間の2型糖尿病によく似た病態です。主な症状は、多飲多尿、多食、体重減少、嘔吐などが挙げられ、進行するとケトアシドーシスという命に関わる状態に陥ることがあります。治療は、食事療法とインスリン投与(注射)で血糖値をコントロールします。肥満やストレスが発症リスクとなるため、ストレス要因を取り除き、正しい食事管理を行うことが大切です。
- 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
- 猫白血病ウイルスによって引き起こされる感染症です。主な症状は、発熱や貧血、口内炎、食欲不振、嘔吐、リンパ腫など様々で、重症化すると死に至ることもあります。罹患猫の唾液や血液から感染するため、他の猫との接触を避け室内飼育の徹底する他、定期ワクチン接種で予防に努めましょう。
- 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)
- 猫免疫不全ウイルスによって引き起こされる感染症で、別名猫エイズと呼ばれています。主な症状は、発熱や口内炎、上部気道感染症、食欲不振などが挙げられ、発症すると数カ月以内に亡くなると言われています。野外で生活する猫の3割以上が感染していると言われ、ケンカにより罹患猫の唾液や血液から感染するため、他の猫との接触を避け室内飼育を徹底しましょう。
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)
- FIPウイルスの感染によって引き起こされる感染症です。1歳未満の若い猫に多くみられ、発症するとほとんどの猫が数日〜数ヶ月で死に至る危険な病気です。主な症状は、発熱、食欲不振、黄疸の他、ウェットタイプでは腹水や胸水が溜まります。治療は、ステロイドや利尿剤の投与、点滴などが主になりますが、有効な治療方法はありません。他の猫との接触を避け、室内飼育を徹底するなど予防に努めましょう。
- リンパ腫
- 猫で多く見られる血液のがん一種で、白血球のうち免疫に関わるリンパ球ががん化したものを指します。発症した場所により、多中心型、縦隔型、消化器型、節外型の4つに分けられ、発症部位によりその症状は様々です。発症の原因は未だに解明されていませんが、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)の感染によりリンパ腫発生の確率が上がることが分かっています。治療は、化学療法(抗がん剤)やステロイドの投与が行われます。
- 中毒
- 暮らしの中で猫が中毒をおこす物質は無数にあります。代表的なものでは、ユリ科をはじめとする観葉植物、ネギ類やチョコレートなどの食材、煙草のニコチンや香水、アロマなども猫にとって毒になるため注意が必要です。症状や治療法は摂取したものの成分により様々で、大量摂取の場合死に至ることもあるため、様子を見ずに受診することをおすすめします。
健康診断について
猫は私たちの4~5倍の速さで歳を重ねます。また非常に我慢強く、病気であることを隠す生き物であるため、不調に気がついた時にはかなり病気が進行していたということも珍しくはありません。6歳までは最低でも年1回、7歳以降は年2回以上の健康診断を推奨しています。検査内容については、それぞれの猫に合った項目をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
猫の飼い主さまへ
考えたくもないことですが、いつかはみなさんの愛する猫も旅立ちます。
医療が進歩しても全ての病気が治せるわけではなく、また「老い」はいつか訪れます。その時にできる限り後悔のないよう、こまめな通院で病気の予防や早期発見に努め、日頃から猫への愛情や感謝の気持ちを伝え、猫との毎日を大切に過ごしましょう。
私たちは、猫が幸せに生きるためのサポーターです。楽しいことも、困りごとも、心配な気持ちにも、みなさんと同じくらい猫が大好きなスタッフが寄り添い、共感し、全力で支えます。
どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。