シニアケア
シニアケアについて
近年、動物の平均寿命が著しく伸び高齢化が進んでいることから、高齢ペットに対するケア(シニアケア)の重要性が増しています。加齢に伴う関節疾患や運動機能の低下、認知機能の低下などの症状の多くは、適切な治療やケアで進行を遅らせ、ペットのQOL(生活の質)を高めることが可能です。
当院では、小型犬・猫は7歳から、中型犬は6歳から、大型犬は5歳からをシニア期の始まり(プレシニア期)と考え、早期からのシニアケアを推奨しております。ペットの現在の健康状態や日ごろのお悩みや不安などシニアケア専門スタッフまでお気軽にご相談ください。
うちの子の年齢を知ろう
わんちゃん・ねこちゃんの1年は、人の4-7年にあたります
いつの間にかあなたより年上になり、生活に不便を感じているかもしれません
老化のサイン
見た目の変化
- 痩せてくる
- 太りやすくなる
- 毛艶がなくなる、脱毛
- 白髪が増える
- 目が白くなる
- 顔つきが険しくなる
- 歯が抜ける
- 歩幅が狭くなる
行動の変化
- 寝ている時間が増える
- 食欲が減る、ムラが出る
- 排泄のトラブルがおこる
- 散歩をいやがる
- 呼びかけに反応しなくなる
- 大きな声で鳴く
- 怒りっぽくなる
- 長時間歩き回る(徘徊)
当院で行っているシニアケア
- 定期健康診断
- 歯科検診・がん検診
- 栄養指導(フード)
- サプリメントの処方
- 運動指導
- 関節疾患の治療
- リハビリ
- 介護相談
- 預かりデイサービス
年齢、品種、生活環境、運動機能、基礎疾患の有無など、その子のコンディションに合ったケア方法をご提案いたします
ご予約は、お電話(043‐204‐8181)もしくは病院受付にて承ります。
ご自宅でできるシニアケア
病気にならない身体作り
体は日々の食事で作られるため、その子のライフステージや身体の状態に合った良質なフード選びが非常に大切です。成長期など若い子向けに販売されているフードは、シニアの子にとって栄養価やカロリーが過剰となったり、消化吸収の際内臓に負担がかかることがあります。身体に合わないフードを長期間使用することで、腎臓病や下部尿路疾患、心臓病、アレルギーなどのリスクが上がると言われています。また、病気の治療をしている子は、特定の成分を制限した療法食を選ぶ必要があります。療法食は使用法を間違えると健康を害する可能性もあるため、お薬と同じという認識で担当獣医師の指示のもと正しく使用をお願いいたします。また、食が細い・フードの選り好みで困っている、適切なフードの管理方法が知りたいなど、食事に関する日々のお悩みもお気軽にご相談ください。
運動機能の維持
シニア期で目立ってくる、「トボトボ歩き」「体の震え」「段差が登れなくなる」「背中が丸まる(姿勢の変化)」などの症状は、加齢に伴う筋力の低下や関節疾患が原因として挙げられます。いずれも栄養管理や生活様式などが大きく関わるためまずはそれらを見直し、適切な食事の選択や運動時間の確保、無理のない範囲でのリハビリやマッサージを実施していただくのが効果的です。また、食事で補いきれない栄養素はサプリメントなどを積極的に利用することをおすすめしています。近年、筋肉や関節の健康維持に特化した製品も多く、運動機能の回復や運動機能低下を遅らせる効果が期待できます。運動機能の維持は、ペットのQOL(生活の質)を高め、生き生きとしたシニアライフに繋がります。 継続することが大切なので、飼い主様とペットが互いに無理なく続けられる方法を一緒に探しましょう。
排泄ケア
シニア期になると、排泄トラブルが出てくることがあります。筋力低下や脱水による便秘症や、骨関節疾患やヘルニアなどによる排尿困難、認知機能低下による夜尿やトイレの失敗など、原因は様々です。疾患が原因となり引き起こされるものは原因治療を行いますが、完治しないものや進行性の疾患、加齢が要因のものに関しては、上手くお付き合いしていく必要があります。複数の介護用品を組み合わせて用いたり、日々の生活のちょっとした工夫によって排泄ケアの手間やストレスを軽減できるかもしれません。また、圧迫排尿や排便介助など特殊なケアが必要な場合は、時間をかけて方法をお伝えいたします。ご自宅での排泄ケアのコツや注意点、ケア用品についてなど、いつでもご相談ください。
認知機能の維持
動物にも認知症(認知機能不全症候群)があります。認知症になると、周囲のものや場所が認識できなくなる見当識障害、攻撃性が増すなど感情の起伏の変化、排泄トラブル、昼夜逆転や夜泣きなどの睡眠障害、徘徊など、様々な症状がみられます。人の場合と同様に、これらの症状はどんどん進行していきます。有効な治療法は確立されていませんが、日々の生活に刺激を与えたり、DHAやEPAを含むフードやサプリメントの使用が認知症予防に繋がると考えられています。コマンドトレーニングや知育おもちゃの使用のほか、普段と違う食べ物を与える、行ったことのない場所に連れて行く、お散歩のコースを変えるなど、定期的に新しい体験をさせることが脳へのよい刺激となります。うちの子もしかして認知症?と感じた方は、お気軽にスタッフまでお声かけください。認知症評価チェックシートやサプリメントのご紹介も行っております。
高齢期のペットと暮らす飼い主様へ
当院では、「高齢ペットのQOL(生活の質)向上」を目標に、飼い主様とペットのサポートをしております。
ペットが高齢になるにつれ病気の治療や介護の必要が出てきますが、それらは一人で抱え込むには大きすぎる問題であり、ご家族をはじめとする周囲の理解と協力が必要不可欠です。当院スタッフも飼い主様とひとつのチームとなり、2人3脚でペットのシニアライフをサポートいたします。また、日々の介護で体力的・精神的に疲れてしまったときは、いつでも病院を頼ってください。介護のお悩み相談やお手伝い、飼い主様に代わってペットのお世話(預かりデイサービス)など、随時受け入れをしております。
シニアケアでは、お世話をするご家族の心の健康が何よりも大切です。
ペットが歳を重ね、これまで当たり前に出来ていたことが出来なくなるのを目の当たりにするのは非常に辛いことです。ですが、老いというのは命あるものの自然な変化であり、それだけ長く生きてきたという証拠でもあります。
動物はどんな時でも自身の状況を悲観しません。どんなに体が不自由になろうと、コミュニケーションが難しくなろうと変わらず飼い主さんを慕い、毎日を懸命に、前向きに生きています。
我々飼い主にできることは、ペットの老いを受け入れ、今できることを共に喜び、大好きな気持ちと感謝を日々伝えてあげることだと思います。どんな時でも飼い主さんが笑顔でいることが、ペットにとって一番の幸せなのです。