真夏になっても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威は衰えず、みなさん、不安を抱えながら生活を送っていることとおもいます。私もそうです。他人と接触することがリスクになるという悲しい現実と付き合わなければならない。自分が生きている時代にこうしたことが起こるなど、想像できませんでした。

わずか50nm-200nmという大きさのウイルス粒子の出現をきっかけに、私たちはどう生きていけなければならないか、考える必要が出てきています。

一方で、世界を新たな目で見つめなおすきっかけにもなっています。当たり前だとおもっていた日常、たとえば、友人と気軽に食事に出かけたり、美しい海や寺院を訪ねて旅をしたり、そうしたことがとても貴重だったことに気づきました。太陽が東からのぼるのは変わらないとしても、その朝日をあおげる自分が明日いるかはわからない。いま、この瞬間、生きていることへの感謝。

明日への指針を探っていたとき、岩波新書『コロナ後の世界を生きる-私たちの提言』を見つけました。抜粋は藤原辰史氏の「パンデミックを生きる指針-歴史研究のアプローチ」より(一部省略)。

 武漢で封鎖の日々を日記に綴って公開した作家、方方は、「一つの国が文明国家であるかどうかの基準は、高層ビルが多いとか、クルマが疾走しているとか、武器が進んでいるとか、軍隊が強いとか、科学技術が発達しているとか、芸術が多彩とか、さらに、派手なイベントができるとか、花火が豪華絢爛とか、おカネの力で世界を豪遊し、世界中のものを買いあさるとか、決してそうしたことがすべてではない。基準はただ一つしかない。それは弱者に接する態度である」と喝破した。