ベターな治療でも
動物病院にはいろいろな飼い主さんがいらっしゃいます。「いろいろ」というのは年齢だったり、ペットに対する考え方だったり、家庭事情だったり、経済事情だったり、まさにいろいろです。
最近感じるのは、飼い主さんご自身が病気であったり、ご家族の介護が必要な方が目立っているということです。
ペットが病気になったとき、それがどんな病気か、どんな治療があるか、そうしたことをお話すると「実は私もおなじ病気にかかっていて・・・」、そうおっしゃる方もいます。あるいはご家族の介護で「本当はこの子の治療にも通院しないといけないのでしょうが、自分の両親の介護で手一杯です」、そんなふうに心を痛める方もいます。
ペットの世話は誰がしているのか、食事や投薬はだれがしているのか、通院や投薬をお願いする獣医師としては、そうしたことをお伺いする必要があるときがあります。そうしたとき、飼い主さんのご家族の構成や諸事情を初めて知ることがあります。私たち動物病院のスタッフがみているのは、ペットとご家族の生活の本当にわずかな部分だということを痛感します。
できる範囲で、できる治療をしていければいいとおもいます。それは飼い主さんが考えるベストな治療ではないかもしれませんが、私はベターな治療もすばらしいと考えています。できる範囲で、できることを。
ところで、聴診器を買い替えました。12年間使っていた聴診器が壊れたためです。ウィキペディアによると「1816年、フランスの医師ルネ・ラエンネックが、子どもが木の棒の端に耳をあてて遊んでいるのを見て、聴診器のメカニズムを思いつき、発明した」そうです。