セカンドオピニオンって? 意外と誤解が多い
今回の記事は、セカンドオピニオンがテーマです。セカンドオピニオンを求める飼い主さんは、ときには藁にもすがりたい心境にいらっしゃいます。「悪性腫瘍と診断され、手術が必要と説明された。高齢ですが、手術しか治療法はないでしょうか」「本当にその病気なんでしょうか」・・・海浜動物医療センターではそうした方々の力になりたいと考えています。遠慮なさらず、いつでもご来院下さい。
ところで、セカンドオピニオンの正確な意味をご存知でしょうか。最初に結論をいえば、セカンドオピニオンはかかりつけの主治医との同意のうえで、他の獣医師の意見を求めるものです。飼い主さんが主治医に知らせず、他院を受診するのは、本来のセカンドオピニオンではありません。
他院での意見を聞いた上で、主治医のもとに戻り、改めて今後の治療を話し合う・・・それがセカンドオピニオンの目的です。他院でも治療を受けたい場合は「転院」になります。
こんな面倒なことを書いたのは、飼い主のみなさんにぜひご協力いただきたいことがあるからです。
セカンドオピニオンを必要とするペットは、病気が重いことが多い。それまでに複数の検査(複数回の血液検査、レントゲン検査、超音波検査、病理検査・・・)を受けていることも多いでしょう。検査結果は情報の宝です。また、どんな治療を受け、ペットの病状は改善したのか・なにも変わらなかったのか、そうしたことも大切な情報です。
こうした情報は主治医しか把握していません。主治医からの診療情報提供書(いわゆる紹介状)はとても大切なものです。病気の診断や治療の選択を考えるうえでも、追加検査の必要があれば、その内容を吟味するうえでも、診療情報提供書は欠かせません。
他の獣医師の意見を聞きたい、そう思った飼い主さんは、ぜひ紹介状をご持参下さい。ペットに無駄な検査をする必要もなくなります。
セカンドオピニオンを考える飼い主さんの中には「かかりつけの先生に悪いから」「なかなか言い出せない」・・・そんなふうにおもう方もいらっしゃるでしょう。
以下は国立国語研究所「病院の言葉」委員会『病院の言葉を分かりやすく』から、関連部分を抜粋したものです。こちらをご覧になれば、主治医に遠慮する必要などないことがおわかりになるとおもいます。
もう一つ患者さんが「先生に悪い」と思うのは、病院や医者を変えたいと考えたときである。ある病院で病気が見つかり手術を勧められたが、友人から違う病院でやってもらった方がいいと言われた。だが、これまで親身にしてくれた先生になかなか言い出せずに困る人も多い。
(A)「◯◯病院に移って手術を受けたい」
(B)〇〇病院の△科の先生に相談して意見を聞きたい」
(B)は「セカンドオピニオン」と言って、主治医と違う病院の医師の説明を受けて参考にすることである。
一生に一度あるかないかの手術を受けるのであるから、どの病院のどの先生がよいか、とことん吟味すべきである。
または、次の文章をご覧下さい。
主治医がセカンドオピニオンを勧めると、自分の診断に自信がないからだと誤解する人がいる。一方、主治医の機嫌を損ねるのではないかと、セカンドオピニオンの希望を申し出るのをためらう人もいる。現在では、しっかりとした理念を持っている病院や医師であるほど、セカンドオピニオンを患者に積極的に勧め、患者の希望には快く応じるのが当たり前であることを伝えたい。